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2011年1月8日土曜日

I'll make you an offer you may refuse

 『武士の家計簿』を観た。

 以下、ネタばれがある、かもしれない。

 前半はちょっとホームコメディっぽいのだが、後半主人公の直之(堺雅人)が仕事で成功したあたりから、話が次第にシリアスになっていき、主人公が一家を支える大黒柱化して、ある意味神話的人物となっていく。それに反発しつつ、成長するにつれ父の偉大さを理解していく息子、夫を支えつつ息子を思いやる妻・・・。なんかどっかでみたことあるなあ。
 これって、『ゴッド・ファーザー』?
 そう考えると、8代続く「御算用者」(今で言えば、経理マン+パソコン、と言ったところか)とイタリア移民二世の犯罪組織のトップ、この違いが移民の国・アメリカンドリームの国・ダイナミックに社会階層の移動が生じ得る階級社会アメリカと、よりスタティックな平等社会である日本社会との差、というように見えなくもない。

 まあ、考えすぎだと思いますけどね。

 映画全体としては、堺雅人と仲間由紀恵を神話的に描く一環として、二人の立ち居振る舞いををパキパキに「古きよき日本風」にさせてるのが、いかにもアホな国家主義者に媚びているようでちょっとヤだったな。「こういう映画作っとけば『古き良き日本の美しさを思い出させてくれた森田監督ありがとう』ってコメントが産経新聞とかyahooのブログで続々と挙がるでしょ」、みたいな。
 それと、この映画は(上にも書いたように)急激な転調を見せるので、「作者のイイタカッタコト」を読み取ることを芸術作品の鑑賞と思っている人(勘違いダヨ)にとっては、わけが分からないでしょう。

 堺はこの手の役をやらせると日本一。タイプキャストにならないよう、『ジェネラル・ルージュの凱旋』みたいな役でバランスをとる必要がありますね。

 仲間ユッキーは、良妻賢母役ということで、グッド・シェパードのアンジェリーナ・ジョリーみたいに、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのアルバムのデイブ・ナヴァロみたいに、影が薄くなっています。

 まあ、シネコンで私を含め2人だけで鑑賞(自己新記録!)、というほど悪い出来だとは思わないですけどねー。この時期上映にもかかわらず、年末・年始に堺雅人がTVで宣伝してる絵を全く見かけなかったな。気のせい?と思ったら、この映画12月1日からやってたんですね。11月はテレビ見なかったからなあ。

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