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2010年3月2日火曜日

相対性理論

 キム・ヨナの金メダルは、まず間違いなかったなどということは、「私だけはわかっていた」などといばれるようなものではない。フィギュアスケートを見ている人ならみんなわかっていたはずだ。
 「キム・ヨナ最大のライバル浅田真央、または「(空恐ろしいことに)「浅田真央の最大のライバルのキム・ヨナ」という言われ方がしていたが、これはちょっと無理がある、というのが、ここ1年半くらいのフィギュアを見ていた人の率直な感想だと思う。マスコミって、ホントひどいよね。これで浅田の肩に余計な力が入ったことは間違いない(実際、2位になって悔し涙にくれていたので、ちょっとびっくりした。)
 ともかく、浅田真央は、2位を目指すべきだと、多くのフィギュアファンは思っていたはずである。そして、一回でもキム・ヨナがジャンプですっこけたら(できればSPの最初のジャンプが望ましい)、運よく金が取れるかもしれないというのが、真央ちゃんの目指す正しい戦略だったはず。実際荒川静香はそんな感じで金を取りましたよね。その意味でトリプルアクセル3回は、止めたがよいんじゃないか、と多くの人が内心思っていたはずだ。
 しかし、彼女は1位を目指して2位を取った。これは、敗れて残念、というよりは、むしろ素晴らしいことだったんじゃないでしょうか、皆さん。
 私がキム・ヨナのSPを見た時点で思ったのは、彼女は今大会少し調子が悪いんじゃないか、ということだった。しかし、これは間違いだった(実際SP世界最高得点を獲得)。なぜそう見えたのか。前に滑った浅田真央が素晴らしかったから、相対的にキム・ヨナの輝きが薄れて見えたのだ!!一昨年のシーズン中ごろから、キム・ヨナの滑りは、ちょっと物凄いものになっていたが、それは各大会出場選手中で彼女に匹敵する選手がいなかったために、さらに輝いて見えていたのである。
 浅田真央の滑りは、少なくともキム・ヨナの輝きを薄れさせるくらいには凄かったのだ(いや、もっと凄かったですが、慎重に言ってもそうだという意味です)。このことを忘れてはいけないと思う。真央ちゃん銀メダルおめでとう。

 ただし、重ねて言うが戦略的には2位狙いで行くべきだった。トリプルアクセルでこけたら、5~6位、いやそれより下かも知れない。今やフィギュアはそういう競技なのである。
 その意味で、安藤美姫はいさぎよく3位狙いに行っていたと思う。これは正しかった。結果はついてこなかったが、この振る舞い方はこれでやはり立派だったと思う。そもそも、私にとってミキティの滑りはメダル云々とは関係ないです。いつもセクシーで、そして力強さもある、本当に素晴らしい「演技」ですよね!それに世界女王になった記録が消えるわけではない。この路線に安藤選手を導いたモロゾフもホントに偉い!! クレオパトラは、昨年のグランプリシリーズの演技(あと衣装もね)も素晴らしかったですし、新シーズンに演目が変わってしまうのも惜しいくらいです。
 とにかく、安藤ミキティの演技は、今後も我々を感動させてくれるでしょう。ありがとうミキティ!!

 付け足し 前回トリノ後の、ミキティに対するマスコミの仕打ち、これはひどかったですよね。恥というものを知らないのだろうか。
 トリノ後、というが、実際には、ミキティバッシングはトリノ前から始まっていた。すなわち浅田真央の年齢問題である。年齢制限に引っかかる浅田の出場を、IOCは認めるべきだ、との大合唱が起きていたが、そうなると弾かれるのは三人目=ミキティだった(後は大エースの荒川静香と安定感のあるベテラン村主だった)。どうせ認められるわけもないのに、よくこういう心無い報道ができるな、と思ったもんです。安藤本人も平常心ではいられなかったでしょう。それが四回転サルコーへのこだわりになってしまった可能性は捨て切れません。
 そういう意味では、浅田の誕生日は、本人だけでなくミキティの人生も狂わせた感があります。しかし、この悲運に負けず(本人はそもそも悲運などとと思っていないでしょうが)、今後も素晴らしい演技を見せて欲しいものです。頑張れミキティ!!

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