前回のおまけ
芽衣子さんの彼=種田、がカートを崇拝するのはよくわかる。
あの手の破滅型ロック・スターで、本当にTOPに上り詰めていた人は、彼を最後に生まれてきていないのだ。
つまり、彼こそ最後のロックスターなのである。
というより、こういう人は、彼の前は誰だったのか、というぐらい少ない。
Toys in the AttickやRocksの頃のエアロスミスくらいまで遡らないといけないのではないか?
ドアーズのジムモリソンとか?ブライアン・ジョーンズとか?
NIRVANAのロックがそれほど革新的だったのかというと、疑問もないわけではない。
誰が言ったか忘れたが、Smells Like Teens Spirit なんて、クリームのWhite Roomのパクリじゃないか、とも言える。まあパクリは言い過ぎとしても、曲のフォーマットとしては似ている。
クリームの音楽は当時(60年代)の音楽界の中で革新的だった。クリームは、ビートルズやレッド・ツェッペリンなどと同様、ロックそのものを変えたバンドの一つなのだ。ニルヴァーナにそこまでの革新性があるか?そうとは言い難い。
前回も書いたが、Nevermindは、音質の魅力がかなりセールスに貢献した。また、時代はヘヴィネスを求めていた。メタリカのいわゆるブラックアルバム(「METALLICA」。ゴリゴリにヘヴィ。)が全米1位になったのは、ニルヴァーナのブレイク前のことである。(というか、ブラックアルバムの宣伝のためのインタヴューでメタリカのメンバーがニルヴァーナを褒めまくったのが、Nevermindブレイクのきっかけだった。かくいう私がNevermindを買ったのも、メタリカ推奨銘柄だったからなのでした。)
それに、ニルヴァーナの曲は、所詮ポップである。
インユーテロが出る前、私はカートがインタヴューで大層な、芸術家っぽいことをのたまっているのを読んだ。その時私の心に浮かんだのは、「ポップソング作って何をアートぶってんだ?」という疑問だった。そして、恐らくカート自身、それを誰よりも痛切に感じていた。それがポップさを後退させたアルバム「インユーテロ」の作成意図であり、しかし「インユーテロ」は必ずしも世間に受け入れられなかった(このアルバムは、質の悪いスピーカーほどカッコよく聞こえるという、不思議なサウンドプロダクションになっている。いいスピーカーで聞くと、普通のへヴィーロックの音になり、サウンドガーデンとかと同じになるが、質の悪いスピーカーで聞くと、最初のドラムスティックを打ち合わせる太い木の音のカッコよさに、鳥肌が立つ。)。しかもシングル用に、依然ポップな曲、Heartshaped BoxとかAll Apologyとかが、中途半端に入っているのも、痛い。
カートの声も、普通にカッコいい。ブライアンアダムス系である。彼の声がミート・パペッツみたいだったら?ミート・パペッツくらいしか売れなかったかもしれない!
でも、繰り返しになるが、他にいないんだよね。こういう、アートな若者が憧れ、感情移入できる人が。カートは薬をやって痩せてから、恐ろしくカッコよかったし。
まあ、カートが生きて活躍したのは90年代であって、60年代ではない。これが90年代(そして今?)のアーティストの精一杯の誠実な生き様だったのかもしれない。昔ジョージマイケルが、60年代に生まれたかった、と言っていた。アイドルとしてデビューしたジョージマイケルには、80~90年代の、そんな醜悪さが身に染みていたのかもしれない。
個人的には、ジョージマイケルこそアートな若者に憧れられる資格を十分に備えた偉大なアーティストだと思います。蛇足。
蛇足ついでにもうひとつ。アコギを弾いてるカートの写真をプリントしたTシャツを売ってる某ジーンズショップ(Right Onのこと)は許さない。ニルヴァーナと言ったら轟音ヘヴィロックだろ!エレキギターじゃないと駄目だよ。アーティストに対する愛のないやつが関連グッズを売らないで欲しい!
2010年6月4日金曜日
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