猪:君はさー、地下アイドルって見たことある?
羊:ないなー。お前は地下アイドル見たっていうのかよ。
猪:そうなんだよ。見たんだよ。
羊:まじで?イベントみたいのに行ったわけ?何で急に?
猪:いや、そうゆうわけじゃないんだけど・・・
羊:あ、秋葉原に行ったらホコ天で路上ライブやってたとか?
猪:その中間ぐらいな感じ。
羊:中間?
猪:うん。実はさー、この前、下北沢音楽祭っていうのに、知り合いの知り合いが出てたから見に行ったんだよね。
羊:うん。
猪:あ、聴きに行ったのかな。
羊:どっちでもいいわ。それで?
猪:うん、そしたらさ、行く前に出演者一覧見たらさー、地下アイドル、っていう肩書きの演者が載ってたわけ。
羊:ああ、そういうこと。しかし、下北沢音楽祭って、初耳だな。
猪:そうだろう。おしゃれの街シモキタとは言いながら、昔ながらのベッドタウンなんだから、そこの音楽祭っつったら、ほんのローカルなやつよ。
羊:オレあんまり下北沢って行ったことないんだよね。ベッドタウンなの。
猪:あ、そう突っ込まれると、ちょっと弱いな。
羊:なんだよ。でも実際ローカルなやつだったんだ。
猪:そう。それは確か。
羊:で?
猪:そう、それで、あ、地下アイドルだってよ、ウケる、とか言っちゃってさー、なんか盛り上がっちゃってさー。
羊:まあ、それが一般ピープルの素朴な反応かもなー。
猪:でも、そうは言いながらさー、見たことないわけじゃん?
羊:うん。
猪:だからそうは言いながらもさー。
羊:内心はワクワクドキドキだったわけだ。
猪:なわけよ。まぁ、ドキドキはともかく、ワクワクだったってとこは否定できないなー。
羊:うん。
猪:で、5番目ぐらいだったかなぁ~、いよいよ出てきてさー。
羊:あ、なんか聞いてるオレまでアガってきちゃったよー。ちょっと待って。言わないで。それはやっぱり、フリフリ系の衣装でアニメソングみたいのを熱唱するわけ?演奏はテープ?バックバンドとかいないっしょ?
猪:テープって、三葉虫なみっしょ。
羊:古いってか?うるせーなーもう。
猪:ごめんごめん。それがさー、そもそもバックも生演奏なんだよねー。
羊:マジで?
猪:どういう編成だと思う?
羊:そりゃ、ギター・ベース・ドラムでしょ。あ、あとキーボードじゃね?ドラムは打ち込みかな?
猪:正解は、アコギとカホン、でしたー。
羊:・・・。
猪:・・・。
羊:・・・マジ?
猪:うん。カホンって知ってた?
羊:うん、一応。あの、箱の上に座って箱を叩くやつでしょ。
猪:そう。
羊:いや、そこじゃなくてさ。
猪:そうそう。
羊:アコギとカホンって、そうとう渋いじゃん。
猪:そこよ。
羊:なるほど。つまり歌の方も。
猪:お、鋭いね。
羊:渋い系だったと。
猪:そうなんだよ。
羊:ふーん。じゃあ、地下アイドルって言っても、いわゆるブリブリのアイドル風じゃなかったんだ。
猪:そう。その子は「姫乃たま」ちゃんっていって、下北沢出身で、自称下北系地下アイドル、なんだけど、まあ割とアーティストっぽい感じだったよ。ステージ衣装ももスッとした感じの半袖ワンピに黒のパンプスでさ。髪もボブで決めてて、ユルフワシュシュとかそういう感じじゃなかったな。
羊:歌は?歌はどうだったの。
猪:歌唱力で聴かせるっていうより、味で勝負って言うか。すごいよかったよ。観客も、いろんな演者の知り合いの寄せ集めで、まあほとんどアウェイの雰囲気なんだけど、聞き入ってた。
羊:へえ。
猪:家に帰ってから、ネットでたまちゃんを検索してみたらさあ。
羊:うん。
猪:youtubeなんかにも動画をアップしてるし、ブログとかもやってるんだけど、嗜好からして、完全にマイナー趣味っていうか、アーティスト系だった。地下アイドルっていうよりは、アングラミュージシャンのアイドル、って感じ。
羊:まあ、アングラってundergroundの略だからな。あながち違いはないとも言えるな。
猪:たまちゃんも、「地下アイドルっていうのは、要するに売れないアイドルのことです。」とか言って、観客にウケてたよ。
羊:ははは。・・・それよりお前さあ。
猪:うん?
羊:なに、そんな話オレにわざわざしたり・・・
猪:うっ・・・。
羊:ネットで情報漁ったり・・・
猪:ムムッ・・・。
羊:その子のファンになっちゃったんじゃないの?
猪:いや~実は・・・そ、そう、・・・なんだよね~。そもそもボクこういうの免疫なかったしさー。ほんとキラキラして見えてさ~。見た後はそれこそドキドキしたよね~。
羊:へぇ~。最初ウケるとか言ってたのがウソみたいだな。まあ、でも別に悪いことじゃないじゃんか。その子世の中でも人気あるのかな~。
猪:いやー、なんかまだ学生さんらしいし、これからなんじゃないの?
羊:そうかー。売れるといいね~。
猪:そうだねー。陰ながら応援していきたいね~。
羊:それにしても、やっぱ「アイドル」、の時代なんですかね。
猪:そうだねー。ただ、たまちゃんの場合は、表現の一環としてのアイドル、なんじゃないかなあ。
今回は、紙兎ロペに影響を受けてダイアローグ方式でやってみました。
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